国民健康保険

 国民健康保険の財政基盤を強化することを柱とする医療保険制度改革関連法は参院本会議で、自民、公明、維新の党などの賛成多数で可決され成立しました。

 成立した法律は、高齢化で医療費が膨らむなか、医療保険制度を維持するため幅広い世代の負担を見直す内容となっています。大企業の会社員らが加入する健康保険組合による後期高齢者医療制度への拠出金負担が増えるため、保険料率を引き上げる健保組合が相次ぐと予想されます。

 入院時の食事代引き上げなどの患者負担増加も盛り込まれました。また、保険診療と保険外の自由診療を併用する「患者申出療養」の創設や赤字体質の国民健康保険の運営を市町村から都道府県に移し、財政基盤を強化することも盛り込まれています。

 自営業者や無職、非正規労働者ら約3500万人が加入する国保は、高齢者の増加で医療費の支出が増える一方、加入者の平均所得が低いために保険料収入が伸びないという構造的な問題を抱えています。

 同法では、大幅な赤字を抱える国民健康保険の制度を安定させるため、2018年度から運営主体を現在の市町村から都道府県に移管します。公費による財政支援を拡充し、15年度から年1700億円、18年度以降は年3400億円を投入予定です。